002 - 開発環境の構築(Windows版)


今回の内容

本チャレンジでは、Choreonoidというシミュレータを使用して開発作業を行います。

人型ロボットの基本的な機能を備えたvnoidというサンプルライブラリを Choreonoidにインストールすることで、簡単なサンプルモーションのテストができます。

今回は開発環境としてWindowsを想定して、
インストールからサンプルモーションのテストまでを解説しようと思います。


開発環境の構築手順

Choreonoidのインストール

Choreonoidの公式マニュアル に詳細が記載されております。

「準備」、「ソースコードの取得」、「Choreonoidのビルド」の三章を順に読むことでインストールが可能です。 インストールには数時間かかる場合があります。

これらの章について、重要な補足事項を以下に記載しております。
こちらを読みながら、公式マニュアルに則ってインストールするとスムーズかと思います。

  • 準備

    Choreonoidをインストールする事前の準備物として、
    boostというc++の便利なライブラリ集があります。

    boostのインストール先は、
    C:/local/boost_1_xx_0
    となるよう、ご自身で設定してください。

    boostに限らず、今後必要となるライブラリに関しては、
    C:/localフォルダにインストールするようにしましょう。

    また、こうしたライブラリは異なるバージョンを混在させず、
    必ず最新バージョンを一つだけインストールするようにしましょう。

  • ソースコードの取得

    Choreonoidのソースコードは必ず、gitリポジトリから開発版を取得してください。

    Choreonoidリポジトリのクローン先は、
    できるだけ簡単なディレクトリパスにすることを推奨します。
    (例) C:/choreonoid, C:/devel/choreonoid
    こうすることで、開発におけるディレクトリ移動が楽になります。

  • Choreonoidのビルド

    Choreonoidのビルドは、
    CMakeとVisual Studio の GUI を用いる方法 が簡単です。
    こちらの方法でビルドすることを推奨します。

    Configureを実行して自動的にライブラリが検出されない場合は、
    次のように設定してみてください。
    ①エントリの追加ボタンを押します。

    エントリの追加

    ②ライブラリが格納されている大元のフォルダパス(prefix_path)をエントリに追加する。
    ライブラリのプリフィクス設定

    以上の設定により、Configure時にライブラリが自動検出されるようになります。

    また、Choreonoidのインストール先には、C:/localを推奨します。
    ①先ほどの手順のようにエントリの追加ボタンを押します。
    ②インストール先を指定します。

    ライブラリのプリフィクス設定

    以上の設定をしたのちに、
    Configure、Generateすることで、ビルドの準備が整います。

    また、CMakeウィンドウのOpen Projectボタンをクリックすると、
    Choreonoid/build/Choreonoid.slnというソリューションファイルが開きます。

    ライブラリのプリフィクス設定

  • VisualStudioからChoreonoidを起動する

    Choreonoidのインストールまでの手順が終わりましたら、
    いよいよChoreonoidを起動します。

    VisualStudioウィンドウのソリューションエクスプローラーに、
    「Application」があると思います。
    Applicationを選択した状態で右クリックし、「プロパティ」をクリックしてください。
    プロパティウィンドウのデバッグというタブを開き、
    「コマンド」と、「作業ディレクトリ」を以下の画像のように設定してください。

    ライブラリのプリフィクス設定

    こうすることで、Applicationの実行を介して、
    インストールしたchoreonoid.exeを起動できるようになります。

    次に、再度Applicationを選択した状態で右クリックし、
    「スタートアッププロジェクトに設定」を選択してください。
    このようにすることで、VisualStudio画面上部にある
    「ローカルWindowsデバッガー」をクリックするだけで
    Choreonoidを起動できるようになります。

    ライブラリのプリフィクス設定

vnoidのインストール

Choreonoidがインストールできましたら、vnoidライブラリをインストールします。

Choreonoidのローカルリポジトリにchoreonoid/extディレクトリがあります。

choreonoid/extディレクトリに移動してから、

git clone https://github.com/ytazz/vnoid

を実行すると、choreonoid/ext/vnoidというフォルダ構造になります。

この状態でCMakeでConfigureとGenerateを実行し、
Visual StudioでBuildとinstallを実行すると、
Choreonoidにサンプルライブラリの機能が追加されます。

以下画像のように、
「vnoid」から始まるソリューション内にサンプルコードが入っております。

ライブラリのプリフィクス設定


サンプルモーションのテスト

Choreonoidおよび、vnoidのインストールお疲れ様でした。
いよいよサンプルモーションをテストしていきます。

まず、Choreonoidを起動します。
画面上部の「ファイル」タブをクリックし、「プロジェクトを開く」を選択します。
新たにウィンドウが開きますので、「share」、「project」の順で選択していきます。
すると、プロジェクトの候補が多数出てくると思います。
横にスクロールしていくと
vnoid_sample_project_2022_athletics.cnoidがあると思いますので、
そちらを開きましょう。

ライブラリのプリフィクス設定

下記のような画面が表示されると思います。
ライブラリのプリフィクス設定

赤丸で印したボタンをクリックすることで、シミュレーションが開始します。
ライブラリのプリフィクス設定


まとめ・次回予告

今回はHVACのWindows版の開発環境構築手順について解説しました。

次回: 003 - 開発環境の構築(ubuntu版)